「東と西の2つのエンジン(ハブ空港)で日本を引っ張るという政治的な感覚を前原大臣と共有したい」(13日)
「羽田以外のもう1つは関西国際空港でなければいけないというわけではない。福岡空港や中部国際空港でも僕はいいと思っている」(14日)
(何れも橋下大阪府知事の発言)
人は一日や二日で変わるものではないはずだ。しかし橋下大阪府知事は一日で、色々な考え方ができる
。
知事と関空問題を話し合った場で、いきなり羽田のハブ化を打ち出した前原国交相。並の政治家であったら、面子をつぶされた事と、自分にスポットライトが照らなくなったことに憤るはずだ。
しかし、いきなり前原氏にエールを送ったと思ったら、持論の東西両ハブ論を展開。
さらには、ハブ空港が福岡や中部でも良いというのは、普通の人だったら精神分裂気味かと疑いたくなるような椿事だ。
「成田より羽田の方が便利」「日本のハブ空港は仁川ではなく日本にあるべき」という当たり前の事を前原氏は言っただけなのだから、世論が賛成するのは明白。そこでまずは勝ち馬に乗ろうと、前原氏をあたかも同志のように賞賛した。
さらには持論の東西両ハブ論を展開。このあたりは、大阪府庁舎移転問題と同様、自分が正しいと思ったら、反対されても何度も通るまで言い続けるしぶとさを感じる。
関空をハブ空港として強化しないのであれば、関空の支援に大阪府は協力できないということを今までにも、何度も表明してきた。関空がハブにならなくてもいい、「福岡空港や中部国際空港でも僕はいい」と、「関空からのギブアップ宣言」をちらつかせて関係各所をある意味脅迫している。「関西に3空港あるのは多すぎる。伊丹は廃港にすべき」が持論の橋下知事だが、その論を逆にすれば「関空を廃港にして伊丹だけでもいい」ともなりかねないし、言い出しかねない。しかし、いくらなんでも国交省や前原大臣に何兆円も投じた関空を捨てるという選択肢ができるはずはない。言ってみれば、絶対に勝てるチキンレースをやっているようなものだ。
前原国交省は福岡県の麻生知事と会談し、福岡空港の滑走路を増設することに賛成を表明していたが、福岡空港は市街地に近く便利なことが徒となり、運用時間や騒音問題では相当な成約がある。滑走路の増設は相当な困難を極める。福岡をハブ空港とするなら、玄界灘海上空港への移転を考えなくてはならない。大阪でハブ空港が難しいのなら、名古屋や福岡ではもっと難しい。このご時世に「できっこない」のだ。
とにかく、この天性の政治感覚と絶妙な言い回しは、小泉総理や、初当選の頃の石原慎太郎都知事をも思わせる。
「怒りで眠れない」千葉県知事や「歴史を勉強していない」と皮肉る成田市長、「新幹線が県内の駅に全列車止まらないと、金を出さない」と駄々をこねる新潟県知事は、発言は過激でも一過性であり、新聞の政治欄のあだ花でしかない。一方で橋下の発言は、一貫しつつも話題性があり、右からも左からも論理を突き崩しお茶の間に「橋下ワールド」を浸透させようとする。
橋下劇場は、「理屈として正しく」「話題性があり」「わかりやすい」から、テレビで絵になりやすい。このあたりは寝技しか上手くない小沢一郎よりも遙かに上手だ。私はテレビによるポピュリズムを嫌悪するが、橋下はもう無視できない。橋下知事はとにかく政治的には「台風の目」なのだ。


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